「相続した空き家は不動産登記する必要があるらしいけどよく分からない」「なんだか難しそうだし、費用も心配…」
そんなあなたのために、この記事では相続した空き家の不動産登記について、費用や手続きの流れ、注意点などを、わかりやすく解説します!
空き家を貸し出す場合、基本的には名義を自分に変更する必要があります。
不動産登記を理解して、空き家賃貸へ進んでいきましょう!
不動産登記とは
「不動産が誰のものか」を法務局に記録すること
簡単にご説明すると、不動産登記とは「土地や建物の所有者が誰なのか」を法務局というところで記録することです。相続で空き家を受け継いだ場合は、亡くなった方からあなたへ、所有者を変更する手続きが必要になります。
なぜ不動産登記が必要なの?
不動産登記をすることで、あなたが空き家の所有者であることを証明するためです。
自分のものではないお家を勝手に売ったり借したりは出来ませんよね。
他人に不動産を無断で利用された場合なども、登記してあることで対抗することができます
登記しないとどうなる?
相続登記をせずに放置してしまうと、後々トラブルに繋がる可能性があります。例えば、いざ空き家を売ろうとしたときに、相続人が増えて権利関係が複雑になり、売るに売れない…なんてことも。
さらに、2024年4月からは相続登記が義務化されました。正当な理由なく3年以内に登記をしないと、10万円以下の罰金が科せられる可能性もあるので、注意が必要です。
参考:法務省ホームページhttps://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
相続した空き家の不動産登記にかかる費用
登録免許税
国に納める税金です。空き家の固定資産税評価額の0.4%ですが、贈与や売買の場合は2%になるなど状況により異なります
また一定の条件を満たすと、軽減措置(税金が安くなる制度)があります。例えば、相続したのが配偶者の方だったり、相続した空き家に住む場合は、税率が低くなることがあります。詳しくは国税庁ホームページをご確認ください。
参照:国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
司法書士費用
相続登記は、司法書士さんにお願いするのが一般的です。費用は大体5万円~10万円くらいが目安です。相続の場合、相続人がたくさんいたり、遺産分割協議が必要だったりすると、追加で費用がかかることがあります。後述しますが、自分で行うことで費用はこの費用は削減できます。
その他の費用(書類など)
住民票・印鑑証明・戸籍謄本などが必要になります。これらの書類は、1通あたり数百円で取得できます。
費用を安く抑えるには?
登記は特別な資格が無くても自分で行うことができます。その場合は専門家に依頼する費用を削減できます。ただし結構大変だし時間取られます^^;(後ほどわたしの体験談もご紹介します!)
専門家に依頼する場合は、複数から見積もりを取ったり、コストが安くて評判の良い所をインターネットなどで探す事で費用を抑えられる可能性があります。
必要書類と手続きの流れ
法務局ホームページでは、相続登記は以下の5ステップとされています。
参考:法務局ホームページ https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000001_00014.html
手続きの流れ
- 書類を集める
- 遺産分割協議
- 登記申請書を作る(法務局ホームページから様式のダウンロード可)
- 法務局に申請する
- 登記完了!
必要書類
- 亡くなった方の戸籍謄本など(相続の場合)
- 相続人全員の戸籍謄本と住民票(相続の場合)
- 固定資産税評価証明書
- 遺産分割協議書(必要な場合)
- 相続関係説明図
- 登記申請書
書類の集め方
戸籍謄本や住民票は、役所で取得できます。固定資産税評価証明書は、役所の税務課で取得できます。
オンラインでもできる?
相続登記は、オンラインでも申請できます。オンラインで申請すれば、法務局に行く手間が省けます。
相続した空き家の不動産登記、自分でも可能?
不動産登記は自分で登記することも可能です!でも、ちょっと大変かもしれません。
メリット
- 費用を安く抑えられる
- 自分のペースで進められる
- とてもよい経験になる(個人的にはこれが1番のメリットだと感じています)
デメリット
- 時間がかかる(書類作成や調べる時間)
- 書類に不備があると修正や書類の再収集があり、さらに時間がかかる
- こういう作業が嫌いな人にとっては非常にストレス笑
わたしの体験談をご紹介!
上記のメリット・デメリットをふまえ、わたしは自分で申請をすることにしました。
結論としてはわたしは自分で挑戦して良かったと思いますが、全ての人にオススメはできないと感じています^^;
自分で行う事で専門家の費用(10万円前後)が削減できたし、色々な知識を得ることは出来ます。
一方でかなり時間を取られましたし、法務局にも何度か足を運びました。
そのため
- 仕事が忙しい
- 知識・経験が不要
- 10万円くらいの出費は特に問題ない
- こういった手続きが嫌い
と言った方は専門家に頼むのも良い選択肢だと思います。
逆を言えば
- 時間に余裕がある
- 経験としてやってみたい
- 少しでも費用を削減したい
- こういった作業が好き、得意
このような方は挑戦してみても良いと思います^ ^
自分でやってみようかな?とお考えの方のために、ここからはわたしの実体験を紹介します!
あくまで私が体験したことなので「この通りやればできる」という事ではありませんが、参考程度にお楽しみください!
わたしの状況
祖父が亡くなり、住んでいた建物と土地が父に相続されました。
物件まで行くには車で1時間程度かかり、掃除・空気の入れ替え・草刈りなどの管理に苦労をしていたようです。
そのため私に相談があり、賃貸に挑戦することにしました。
物件は築44年、和室4部屋の古い住宅です。
とりあえず建物だけを不動産登記することに決める。
他人のものを貸し出して利益を得ることは原則できません。
転貸(又貸し)という方法もありますが、複雑になってしまうので、建物はわたし名義にすることにしました(いずれ相続されるものだし)
土地と建物のセットではなく建物だけの名義変更をした理由は、贈与税を回避するためです。
今回贈与を受けた建物は築44年なので、評価額は100万円を下回ります。
年間110万円以下の贈与であれば、贈与税は発生しません(親からの贈与なら「相続時精算課税制度」を使う方法もありますね)。
注意点は建物の売買や活用をする場合、土地の所有者の許可が必要な場合があることです。
わたしの場合、土地の所有者は父なので今のところ不都合はありません。
しかしながら将来別の人に土地が渡ってしまう可能性は当然あります。
この辺りまで考慮し、建物だけの贈与を選択しました。
まずは法務局に行ってみる
必要書類を入手するため、法務局に行ってみることに。
非常に助かることに「贈与に関する書類」が一式でまとめられていて無料でもらうことが出来ました。
一式には説明書、見本、申請書などが入っていてとっても便利ですね。
間違いに備えて、書類を2部頂きました。
各機関に電話相談をしてみる
電話相談窓口を設置している機関が多いですね。
お家にいながら相談できて非常に便利。
法務局
事前に頂いた資料に目を通し、疑問点をまとめてから電話をしました。
わたしが問い合わせた法務局では予約が必要でしたが、電話した翌日に30分の相談枠を確保できました。
以下、法務局とのやりとりの要約です。
- 申請書などを提出するときは予約が必要?→不要
- もらった資料を参考にパソコンで作っていい?→OK
- パソコンで作る場合、手書きが必要な所は?→名前や日付を含めて、全てパソコン入力でOK。手書きが混在していても問題ない(チェックや丸印で囲むなど)
- 「登記識別情報の通知を希望しない」ってどういう事?→気にせず削除しちゃってもよい(じゃあなんでこんな項目あるのよ!笑)
- 登録免許税は2%で合ってる?→合ってる。贈与の場合は固定資産税額の2%で計算。
30分の時間制限があり、相手はけっこう急いでいるような印象でした。
やっぱり問い合わせは多いのかな。お忙しいところ感謝です!おかげさまで不安が解消しました。
税務署
こちらは予約不要で相談が出来ました。
贈与税だけでなく色々な税の相談が出来るので、普段からちょくちょく活用させてもらっています。ありがたや。
以下質問と回答です
- 100万円以下の建物なら贈与税かからない?→かからないし申告も不要。でも確定申告の時に申告してもよい。建物の場合、価格は固定資産税の1.1倍で計算する。
この「1.1倍」という倍率の計算が、ネットを調べてもわたしは発見できませんでした。
まあ100万円以下の建物なので、贈与税が発生しても高額にはならなそうですよね。
あまり気にせずどんどん進めてみます^ ^
県税事務所
登録免許税や贈与税の他にも「不動産取得税」というものも発生するそうです。
軽減措置もあるようなので、問い合わせてみました。
- どのように計算すれば良いの?→固定資産税の50%×3%。でも登録免許税と違って、計算は県税事務所で行うから気にしなくて大丈夫。
- 必要な手続きは?→不動産を取得したら不動産取得申告書を出す。管轄の県税事務所か、不動産のある役所の税務課に用紙アリ。(県のホームページからダウンロード可)
- 軽減措置の対象になる?→住んでいることが条件。すぐに引っ越さなくても課税されるまでに住めばいい。住民票の移動をしなくても、住んでいることの証明(光熱費の領収書)があり、理由書を提出すれば対象となることもある。広さや築年数で対象外となることもある。不動産取得税は相続の場合はかからない。贈与や相続時精算課税時はかかる。
などの説明を受けました。
わたしの場合は賃貸で活用する予定だし建物も築古で旧耐震基準のため、軽減措置は対象外となるようです。
また今回は贈与なので不動産取得税も発生します。相続まで待てば不動産取得税は発生しませんが、空き家を少しでも早く活用するほうがトータルで大きな利益になるとわたしは考えています。
書類を集める
登記に必要な書類の収集を始めます。
- 登記識別情報通知→贈与する親族が所有していたので借りました。用紙の下部に登記識別情報が書かれていますが、目隠しされています。これを剥がしてコンビニでコピーし、封筒に入れました。提出の際は原本も持参し、あとで親族に返却。
- 贈与する人(父)の印鑑証明(3ヶ月以内のもの)
- 贈与される人(わたし)の住民票(特に期限なし)
- 登記原因証明情報→パソコンで作成
- 納税通知書と課税明細書
- 委任状→パソコンで作成
- 登記申請書→パソコンで作成
必要書類や期限はわたしが行った法務局の場合です。地域やその年度によって異なる可能性があるので、法務局へお問合せください^ ^
申請書を作ってみた
頂いた書類に手書きしても良いのですが、簡単に修正できるようにパソコンで作成しました。
今後不動産を取得したときに役に立つかもしれないし。
まずは法務局で頂いた見本を見ながら、登記申請書を作成していきます。
課税価格は固定資産税額を入力(千円未満切り捨て)。
登録免許税は課税価格の2%となるそうです(百円未満切り捨て)
その下の「不動産の表示」は、登記簿謄本通りに入力していきます。
ここの固定資産税額は、切り捨てずそのまま記載なので注意です。ややこしい^^;
委任状や登記原因証明情報もパソコンで作りましたが、注意することろは日付だそうです。
わたしが問い合わせた法務局からは「登記申請書の申請日以外は、全て贈与した日付にして下さい」と説明を受けました。その指示通り、委任状や登記原因証明情報に記載する日付は全て贈与日としました。
書類をまとめる順番にも指示があり
- 登記申請書(下に建物の表示、上部5㎝以上の余白)
- 登録免許税納付用台紙(ただのA4の白紙でもいい)
- 委任状
- 贈与する人の印鑑証明書
- 贈与を受ける人の住民票
- 登記原因証明情報
- 納税通知書(コピー)
- 課税明細書(コピー)
だそうです。
書類を重ねて左側二箇所ホチキス留め、1と2には割印をしました。
この書類一式の他に登記識別情報通知はコピーを封筒にいれておきます。
いざ書類を提出しに法務局へ!
当日は
- 完成した申請書一式
- 納税通知書や登記識別情報通知の原本
を持参しました。
というか不動産に関係する書類は全て持参しました笑。
法務局で19,500円分の収入印紙を購入し、台紙に貼付。
それを受付に提出し、無事に受理してもらえました。
今回の月曜日に申請に行ったのですが「1週間後の月曜日の午後以降に受け取り可能です。書類に不備があれば電話をしますが、何もなければ連絡しません」と説明を受けました。
後日法務局へ行き書類を回収し、無事に登記が完了しました!
それから数ヶ月後に不動産取得税の納税通知書が届き、支払いをして全ての手続きが完了しました。
けっこう長い道のりですよね^^;
そのため前述した通り、プロにお願いするのも良い選択だと私は考えています。
司法書士さんにお願いする場合
メリット
- 難しい手続きをする必要がなくなる
- 時間の削減になる
- 失敗のリスクがない
- 専門的なアドバイスももらえる
デメリット
- 費用がかかる(手間や時間を考えると、コスパが良いとわたしは感じています)
- 不動産登記の経験が積めない
まとめ:空き家の賃貸に登記は必須!自分で出来るけど専門家への依頼もオススメ
この記事では、相続した空き家の不動産登記について解説しました。少しでもあなたの不安が解消されたなら嬉しいです。
前述したとおり、自分で手続きは可能ですが時間と労力がかかりました^^;
そのため忙しい方や手続きに不安のある方は専門家への依頼もおすすめです。
不動産登記を依頼することは、そこまで大きな費用ではありません。
しかも実家を貸し出すことができれば、家賃で回収ができます😊
この記事が空き家でお困りの方のお役に立てれば嬉しいです!
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