「実家が空き家になったけど、とりあえずそのままにしておこう」——そう思っている方、多いのではないでしょうか。
でも、放置し続けることには想像以上のリスクが潜んでいます。しかも、そのリスクは時間が経つほど深刻になっていきます。
わたし自身、祖父の家が空き家になって長期間放置されていました。その間に色々なトラブルに見舞われ、今考えると早いうちに対応しておけばよかったと反省しています。
この記事では、空き家を放置した場合に起こりうる7つのリスクを、法律・税金・防犯・近隣トラブルまで網羅してお伝えします。「うちの実家は大丈夫だろうか?」という方はぜひ最後まで読んでみてください。
日本の空き家問題は今どのくらい深刻か
2023年に総務省が発表した住宅・土地統計調査によると、日本の空き家数は約900万戸、空き家率は13.8%と過去最高水準に達しています。
全国の家7〜8軒に1軒は空き家という計算です。地方だけの問題ではなく、首都圏でも着実に空き家は増えています。
そして国も「空き家放置は許容しない」という姿勢を明確にしています。2015年に施行された空家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)は2023年に改正され、行政の権限はさらに強化されました。「持っているだけで何もしない」という選択肢は、以前より格段にリスクが高くなっています。
リスク① 「特定空家」に指定される
特定空家とは
特定空家とは、空家特措法に基づいて市区町村が「そのまま放置することが不適切な状態」と判断した空き家に下す行政上の指定です。
以下のいずれかに当てはまると、指定される可能性があります。
- 保安上の危険:倒壊の恐れがある、屋根・外壁が崩落しそうな状態
- 衛生上の有害:ゴミの不法投棄、害獣・害虫の発生源になっている
- 景観の著しい阻害:著しく景観を損なっている
- 生活環境の阻害:立ち木が隣地に越境している、雑草が繁茂しているなど
「うちはそこまでひどくない」と思っていても、近隣住民からの苦情や自治体の定期巡回がきっかけで指定されるケースがあります。ある日突然、行政から通知が届く——というのは決して珍しくありません。
また、2023年の改正空家特措法では「管理不全空家」という区分も新設されました。特定空家の一歩手前の状態として指定でき、固定資産税の優遇が外れる対象が広がっています。行政が動くハードルが以前より低くなったということです。
指定されるとどうなるか
特定空家に指定されると、市区町村から以下の流れで行政指導が行われます。
- 助言・指導:所有者に改善を促す通知が届く
- 勧告:改善が見られない場合、正式な勧告(この段階で固定資産税の優遇が外れる)
- 命令:勧告に従わない場合、命令が下される
- 行政代執行:命令にも従わない場合、行政が強制的に解体・修繕し、費用は全額所有者に請求
「自分はまだ大丈夫」と思っていても、近隣住民からの苦情や自治体のパトロールで発覚するケースは多く、ある日突然通知が届くということも起こります。
リスク② 固定資産税が最大6倍になる
空き家リスクの中で、わたしが最も「知っておいてほしい」と思うのが固定資産税の増額です。これ、本当に知らないと怖いんです。
なぜ「6倍」になるのか
住宅が建っている土地には、「住宅用地の特例」という制度が適用されています。おかげで今は土地の固定資産税がかなり安く抑えられているんです。
| 土地の区分 | 特例による軽減 |
|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下の部分) | 固定資産税が 1/6 に軽減 |
| 一般住宅用地(200㎡超の部分) | 固定資産税が 1/3 に軽減 |
つまり、本来払うべき税額の「1/6」まで下げてもらえているわけです。
ところが、特定空家の「勧告」を受けるとこの特例が適用除外になります。200㎡以下の土地だと、税額が最大6倍に跳ね上がることになります。
具体的にいくら増えるか
例えば、毎年の固定資産税が土地分で3万円だった場合。勧告を受けると、最大18万円になります。これが毎年続くわけです^^;
建物分の固定資産税も別途かかるので、合計するとかなりの負担増になります。「空き家にしておけば何もしなくていい」どころか、毎年どんどんお金が出ていく状態になってしまいます。
固定資産税の仕組みについて詳しく知りたい方はこちら👇
👉 【節税対策】実家を貸したら税金はいくらかかる?3種類の税金と節税対策を大家が解説
リスク③ 行政代執行で強制解体・費用請求される
助言・指導・勧告・命令に従わなかった場合、行政代執行によって強制的に建物が解体されることがあります。
行政代執行が怖いのは、所有者の同意なしに解体が実行され、その費用が全額請求されるという点です。
解体費用の相場は建物の規模にもよりますが、一般的な木造一戸建てで100万〜300万円程度。これが突然請求されることになります^^;
しかも解体後の更地には固定資産税の住宅用地特例が適用されないため、解体後も税負担が増えるというダブルパンチになります。自分で解体を依頼するにしても費用は同程度かかるので、早めに手を打つに越したことはありません。
リスク④ 防犯・治安上のリスク
人が住んでいない家は、残念ながら犯罪者にとって格好の場所になりやすいんです。
不法侵入・ホームレスの居住・犯罪グループの拠点として使われるケースが実際に報告されています。こうした事態が自分の所有物件で起きた場合、直接的な被害だけでなく、近隣住民への迷惑・信頼の喪失、場合によっては民事上の責任も問われかねません。
また、空き家は放火の標的にもなりやすいです。誰も住んでいないため発見が遅れ、延焼して隣家に被害が及ぶこともあります(失火責任法により、重大な過失がなければ免責になる場合もありますが、そのリスクはゼロではありません)。
リスク⑤ 衛生・景観上のリスク(近隣トラブルの原因にも)
誰も管理しない家は、ゴキブリ・ネズミ・ハクビシン・スズメバチなど害虫・害獣の棲みかになります。これらが隣家に侵入してしまうと、近隣住民との大きなトラブルになりかねません。
手入れされていない庭木が隣地に越境したり、道路にはみ出したりするケースも多いです。また、外壁の剥落・ゴミの堆積が続くと地域の景観を損ない、周辺の不動産価値にも悪影響を及ぼします。近所の方から「早くなんとかしてほしい」と言われてしまう前に動きたいですね。
リスク⑥ 建物の急速な老朽化(実際大変でした)
みなさん十分ご存知かと思いますが、建物は人が住まなくなった途端に急速に傷み始めます。
人が住んでいると、毎日の生活が自然と「換気・温度調整・設備の使用」をしています。これが知らず知らずのうちに建物の劣化を防いでいるんです。誰も住まないと、以下のような複合的な劣化が一気に進みます。
- 湿気がこもり、木材の腐食・カビが発生する
- 換気されず、空気が停滞して建材が傷む
- 水道・給湯管が劣化し、凍結・破裂リスクが高まる
- 屋根・雨どいの小さな破損が放置されて大きな雨漏りに発展する
数年放置すると、本来なら100万円台のリフォームで再生できた物件が「解体するしかない」状態になることも珍しくありません。
実際わたしの祖父宅も湿気によりカビが発生し、家全体にダメージを受けました。臭いもついてしまうしキレイだった壁紙も傷んでしまいます。
雑草が伸びると害虫が発生しやすくもなります。管理に行くたびに精神的にも負担を感じてしまいました。
空き家を放置を続けることで「売る事も貸す事もできなくなる」という最悪のケースにつながる可能性もあります。特に木造建築は放置による劣化が早いので、注意が必要です。
空き家をリフォームして賃貸に出した体験談はこちら👇
👉 空き家をリフォームして貸すべき?費用105万円の内訳と体験談を公開
リスク⑦ 近隣住民とのトラブル・損害賠償
これまでのリスクが積み重なると、最終的に近隣住民とのトラブルや損害賠償に発展することがあります。
民法717条「工作物責任」によれば、建物の管理者(所有者)は、その建物の欠陥によって他者に生じた損害を賠償する責任を負います。
- 老朽化した塀が倒れて隣の車に当たった
- 屋根材が飛散して歩行者に当たった
- 空き家から出た火が隣家に延焼した(重過失が認められた場合)
「知らなかった」「管理できなかった」は免責の理由になりません。所有しているだけで責任が生じる——それが不動産を持つということです。
放置を続けるとどうなるか:リスクの進行ルート
ここまでお伝えしてきたリスクは、独立して起きるのではなく、放置が続くほど連鎖的に深刻化していきます。
| 段階 | 状況 | 起きること |
|---|---|---|
| 放置開始 | 空き家になる | 建物劣化・害虫・防犯リスクが始まる |
| 数年後 | 近隣苦情・自治体パトロール | 「管理不全空家」指定 → 固定資産税特例が外れる |
| さらに放置 | 「特定空家」指定 | 助言・指導・勧告(固定資産税が最大6倍に) |
| 改善なし | 命令 → 行政代執行 | 強制解体 → 費用100〜300万円を全額請求 |
この流れに入ってしまうと、対応が後手になるほどコストも手間も膨らみます。早めに動くほど選択肢が広く、費用も少なく済む——これが空き家問題の鉄則です。
空き家についての相談先に迷っている方はこちらも参考にどうぞ👇
👉 【空き家の相談先はどこ?】無料窓口から悪質業者の見分け方まで徹底解説
空き家リスクを回避する最善策は「貸す」こと
ここまで読んでいただければわかると思いますが、空き家リスクのほとんどは「人が住んでいないこと」が根本原因です。
では、どうすればいいか——「貸す」ことが最もシンプルで効果的な解決策です。人が住んでいれば、これだけのメリットが得られます。
- 建物が自然と換気・管理される
- 特定空家・管理不全空家に指定されない
- 固定資産税の住宅用地特例がそのまま維持される
- 防犯・防火リスクが大幅に下がる
- 毎月の家賃収入で維持コストを賄える
- 将来の資産価値を守ることができる
「古い家でも借りてくれる人がいるの?」と思う方も多いですよね。でも、エリアや家賃設定次第で、築古物件でも入居者は見つかります。わたし自身、築45年の祖父の家を賃貸に出して、今も毎月家賃収入を得ています😊
まず実家を貸すことで何が変わるか、メリットをまとめた記事はこちら👇
👉 実家を貸す5つのメリット|管理の手間ゼロ・家賃収入・節税まで体験談つきで解説
「うちの実家、そもそも貸せるのかな?」という方はまずこちらを確認してみてください👇
👉 実家を貸せないケース8選と対策まとめ|事前確認リスト付きで徹底解説
管理会社への一括相談を検討している方には、イエウール(不動産一括査定・賃貸管理の比較サービス)も参考にしてみてください。複数社にまとめて相談できるため、手間なく比較できますよ。
まとめ
今回お伝えした、空き家を放置した場合の7つのリスクをおさらいします。
| # | リスク | 深刻度 |
|---|---|---|
| ① | 特定空家・管理不全空家に指定される | ★★★★★ |
| ② | 固定資産税が最大6倍になる | ★★★★★ |
| ③ | 行政代執行で強制解体・費用請求(100〜300万円) | ★★★★★ |
| ④ | 防犯・放火・不法侵入リスク | ★★★★ |
| ⑤ | 害虫・害獣・景観悪化と近隣トラブル | ★★★ |
| ⑥ | 建物の急速な老朽化・資産価値の喪失 | ★★★★ |
| ⑦ | 損害賠償リスク(工作物責任) | ★★★★ |
「とりあえず放置」は、一見コストゼロに見えて、実は最もコストの高い選択肢です。
空き家のリスクを正しく理解したうえで、「売る」「貸す」「解体する」のどれかを早めに決断することが大切です。迷っている方には、まず「貸すこと」を検討することをおすすめします。家賃収入を得ながらリスクを丸ごと回避できる、最もバランスの良い選択肢だからです😊
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